ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章
ホメたい気持ちとけなしたい気持ちに揺れています。ひとことで言うと「1.5倍速くらいで観たら楽しいかも」って感じです。ちなみにコミックはジョジョリオン以外は全巻所持してます。
マンガの実写化って原作未読だと楽しめないものが多いなか、本作も配慮は感じますが結局わかりにくそうだなぁって思います。原作読者のじぶんにしてみても「ひとつひとつの画は再現性が高いけど…うぅーん」って感じでした。
演技含め、キャラクターは(そうそうこんな感じ!)って思えますし、セリフや見せ場もコミックのトレースとはいえ興奮できるものもあります。スタンドだってなかなかの出来です。なのに映画としてのつまらなさが拭いきれない…。それはすべて「鈍重さ」に理由があるんじゃあないかなと思いました。
まず「しゃべりが遅い」んですよ。いくらマンガのキャラでもそんなにのんびりと話すやついないよってくらい。敵も(なんか言ってるから待ってあげよう)って優しい。違和感とイライラでオラオラ!
そして「前置きがクドイ」んです。仗助の家庭でのシーンを省いちゃうと闘う理由に説得力がなくなることもわかります。敵のキャラクターが濃くないとカタルシスも得られないので丁寧に描きたくなるのもわかります。
ただ、それをもってしても初見の人にはわかりにくい点が多そうですし、結局同じことを繰り返し説明してるだけだったりして、それでテンポも崩してるんじゃあ本末転倒だろうって思います。ため息と眠気で無駄無駄!
全体的な雰囲気として「日常の片隅に潜む恐怖」を描くのには成功してるかもしれませんね。ただせっかくティーンをターゲットにしているんだから、もうちょっとライトでポップなノリにしてもよかったんじゃないかなぁと思いました。
ちなみに、キャストでとても良いと思ったのは虹村形兆を演じた岡田将生くん。ポッキーのCMからのファンであるじぶんからすれば色眼鏡が眼球に食い込んでるレベルなので他の人が観たらどうなのかわかりませんが…。他人を見下した態度は色気もあってグッド!
メンズポッキーCM「はじけてチャレンジ!バイト篇」(30秒)
※以下ネタバレありで良いとこ悪いとこ
アンジェロ(山田孝之)の設定など数ある改変のうち、うまいと思ったのは映画ラスト。原作では虹村兄弟のエピソードは「レッド・ホット・チリ・ペッパー」という電気を操るスタンドの登場で終わるのですが、それが謎の爆弾スタンドになっていたことですね(正体を書くと第二章のネタバレになるジレンマ)。エンドクレジットのおまけでも想像できる通り、仗助たちにとって最悪の敵が杜王町にいることも示唆しています。これは興奮しましたね。
あんなにもけなしていた億泰(新田真剣佑)を形兆が守って死ぬ、という展開はまったく同じながら、違和感なく敵をすげ替えることに成功!よく考えれば思いつく案ではありますが、退屈に支配されかけていたじぶんには衝撃でした。
小松菜奈さん演じた山岸由花子が何もしないのはどうなんでしょう?康一くん(神木隆之介)への執着心が垣間見れるシーンから(こいつはやべーヤツだ)って誰もが思うにもかかわらず思わせぶりで終わる。まぁ何かしようものなら詰め込み過ぎになるんですけどね。
何もしないと言えば康一くんのスタンド「エコーズ」も生まれましたが顔見せ程度。たしかに卵の状態でお披露目して終わり!だと思わせぶりすぎてあんまりなので、出すか出さないかの2択しかなかったんでしょうね。まぁこれは良かったのかな。
あぁそうだ、形兆の「バッド・カンパニー」ね、あれはCGじゃなくて本物の人形とラジコンでやってほしかったなぁ。