Tokyo Zombi

映画の感想を書きます。全米の週末ランキングもまとめてます。

ワンダーウーマン

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試写会にて鑑賞。キティちゃんコラボのステッカーをいただきました。とても印象的だったのが本編開始前に流れた『ジャスティス・リーグ』の予告編を観たおじいちゃんの「これはおもしろそうだ!」のひとこと。うんうん、きっとおもしろいよ!


DC Comics 映画「ジャスティス・リーグ」日本版予告 第2弾

※以下、ネタバレしています。

女戦士の成長

ワンダーウーマンことダイアナ(ガル・ガドット)は女だけの島「セミッシラ(セミスキラ)」で生まれ育ち、外界のことは何も知りません。そのため世俗に疎いという天然っぽさがコメディ要素となって多くの笑いを生み、かつ彼女をかわいらしく映しています。(何か変なこと言った?)みたいなおとぼけフェイスが愛らしい♪

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日々訓練に明け暮れるアマゾネスたち。その中心にいる叔母のアンティオペロビン・ライト)を見て育ったダイアナは当然のようにその姿に憧れますが、なぜか母のヒッポリタ女王(コニー・ニールセン)は訓練を許さず…。隠れてアンティオペの稽古を受けるダイアナを見て「私は女王失格ね、妹に背かれるなんて」的なことを言うヒッポリタは内心、娘が自分よりも妹を慕っていると悲しんだんじゃないかなぁ。でもダイアナはどんなときも母のことを見ているので(昔の母のようになりたい)と思っているのは明らか。訓練を許されてからも(ほらお母さん!私こんなに強くなったわよ!)とアピールしてて健気。

外界への旅立ち

やがて成長を遂げ、自分が秘めたパワーの大きさにショックを受けるダイアナのもとに偶然スティーブクリス・パイン)という軍人が現れます。それにしてもあの島を隠しているバリアですけど(いままでよくバレなかったなぁ)と思いました。ふつうに漁船とかが通って見つかりそうなのに。後になって“重要な証拠品を奪った後だった”という理由を知ると納得ですが(スティーブひとりなのに相手が大軍すぎ!)とも思う。

スティーブを追ってドイツ兵が島に押し寄せ、結果アマゾネスたちとの争いに。この戦闘中楯を踏み台にして跳び上がるというMCUでも見たような連携技が披露されますが、これが後に活きてくる熱い展開が…!アマゾネスたちの闘いぶりも華麗で、序盤から心をつかまれました。もっとこの島での物語を展開させてもよかったかも。

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男を“見たことはないけど本では知っている”耳年増なダイアナはスティーブに興味津々。お風呂でのひと幕「あなたは男性としては標準的?」「いや、俺は標準以上だ」というやりとりにニヤリ。セックスについても「本12冊も読んだし知ってるから!男なんていらないから!」的な態度(でも興味ありそう)。

世界中で戦争が起きていることを知ったダイアナは「軍神アレスのせいだ!アレスを倒せば平和になる!」と信じ旅立ちます。アマゾネスの戦闘服しか持っていない彼女が、ロンドンにて初めて淑女の装いに袖を通します。このシーンがまたかわいい!とくにメガネをかけたときのキュートさといったら…!そして剣と楯を持ったまま回転扉に挑戦したがるお茶目さも。

さらに『ローマの休日』オマージュなアイスクリームのシーンもありました。あまりの美味しさに「誇りに思うべきよ」と店員に力説するダイアナがステキ。全編通してこのロンドン~ベルギーのシークエンスがいちばん楽しかったですね。

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英雄の誕生

なんやかんやで仲間を集め、戦場にたどり着くダイアナ。ここから無双っぷりを見せつけていくわけですが、後述する力押し一辺倒のラストバトルに比べたら、冒頭のアマゾネス戦や中盤のドイツ兵との闘いはとても魅力的です。一対多数という状況ながら、次々と敵を蹴散らしていく爽快感!冒頭の戦闘で見た楯ジャンプを利用し、兵士が占領した鐘楼を取り戻すシーンもかっこいい!街中での戦闘では凝ったカメラアングルが効果的で、民家から敵を蹴散らしながら外へ飛び出し屋根をダッシュ&下ではスティーブが並走するシーンが気持ちいい。

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ここで印象的なのはスティーブが「全員を救うことはできない」と言い、ダイアナが「何もしないの!?」と問う場面。スティーブたちの標的は、毒ガス爆弾を製造しているドイツ軍大佐ルーデンドルフダニー・ヒューストン)とマッドサイエンティストドクター・ポイズンエレナ・アナヤ)。一刻を争うため先を急ごうとする仲間に対し、ダイアナは罪なき人々が苦しむ現状を黙って見過ごせません。

スティーブは父から教えられた「人は不正を前にしたとき、何もしないか行動するかだ」という言葉に従い行動すると決意してきたはずですが、任務のために目の前の不正を仕方がないと諦めようとしたのですね。それをダイアナが正しい道へ導くわけです。確固たる信念に従った行動の末、ふたりの心は通じ合い結ばれました。(ラブはにおわせるけど別れのキスくらいかな?)と思ってたのでちょっと意外でしたね。

戦争の真実

しかしダイアナは現実を知るにつれ、世界のあり方に疑問を抱きます。そして戦争はアレスの策略ではなく、人間たちが自らの意思で起こしているのだという真実に気づき「この世界は救うに値しない」と絶望します。

クライマックスのバトルでは暗躍していたアレスが満を持して登場。『ワンダーウーマン』の最大の欠点はこのラスボスに魅力がないこと。「神」であることから強大な力を有していることはわかりますが…とにかく見た目からしてかっこ悪い!でもダイアナが剣を取ってくるのを待ってくれる余裕はステキ!

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肝心の闘いも超パワーで突進して吹っ飛んだり、衝撃波とか雷をドカンとぶちかますという、なんとなく見飽きたもの。『マン・オブ・スティール』でザック・スナイダーが演出した重量感とスピード感のある(そしてクセのある)ゲームみたいなバトルも健在ですが、それまでの戦闘シーンが魅力的だったためか、せっかくのラストでCG加工に違和感を感じてしまいます。

しかし、激化する戦闘のさなか、闘う理由を見失ったダイアナにスティーブが遺した言葉がとてもすばらしいのです。

僕は今日を救う 君は世界を救え

なんてステキなセリフなんだ…。これはナイス翻訳ですね(ちなみに翻訳はアンゼたかし氏)。スティーブは父から貰い受けた腕時計をダイアナに渡し、ロンドンを襲撃予定の爆撃機を奪取し、遥か上空へ飛び立ちました。今わの際に、ダイアナの救う未来のことを思い浮かべてか、少し微笑むスティーブ。爆撃機を指して言った「未来だ」という言葉が彼の行く末を予感させましたね。

ハリウッド映画の自己犠牲ってパターン化してる感はありますが、やっぱりうるっと来てしまいますね。多種多様な仲間を集めて敵地へ潜入というプロットに、ちょっと『ローグ・ワン』っぽいと思ってたら(全員ではないですが)本当に死んでしまってショック…。

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残念ながら、直後にダイアナが覚醒してしまいスティーブの死の余韻が残らないこととか、スティーブ以外の仲間があまり活躍しないという不満点もあります。特にスナイパーを配しておきながら狙い撃つシーンがないってのはどういうことなんでしょう?しかもキャストは『トレインスポッティング』のスパッドことユエン・ブレムナーだというのに。もったいないです。

物語の終わり そして超人の集結へ

物語の最後は、現代のダイアナがスティーブたちとの写真を見て、自らの原点を振り返っていました。ブルース・ウェインバットマン)に宛てたメールの「また彼に会えた」という言葉が心に残ります。が世界を救うのだと、愛のために闘うのだと決意したダイアナの姿が眩しく映ります。思えば、スティーブの信念が揺らいだときにはダイアナが行動で正しい道を示しました。最後にはスティーブが愛の尊さをダイアナに示したのですね。

全体的には前評判も納得の出来。141分という長さながら退屈なシーンは最後のバトルシーンのみ。プロットはありきたりですがダイアナ役のガル・ガドットの魅力に溢れていて飽きることがありません。たまにロック様ことドウェイン・ジョンソンに見えるのは気のせい気のせい…。

ちなみに『ジャスティス・リーグ』への繋がりを感じさせるシーンはありませんでした。エンドクレジット後のおまけ映像もありません。公開されたらいつものIMAXで観ようかなと予定しております。

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