Tokyo Zombi

映画の感想を書きます。全米の週末ランキングもまとめてます。

アトミック・ブロンド

f:id:tokyozombi:20171025103229j:plain

「誰も信じるな」

ネタバレ前に注意書きがあります。

勝手に想像していた、血生臭いアクションバリバリのスパイ映画というイメージとは裏腹に、冷戦だ、MI6だ、KGBだ、CIAだ、二重スパイだ、ナンダカンダと意外とめんどくさそう?いやいや、そんなことはないですよ。あたま空っぽにしても楽しめますよ。

でもしっかり理解したいなら誰が誰かを理解しつつ観るか、人物相関図を予習してから!ちゃんと推理すると簡単で、しっかり観ていないと誰が何をしようとしてるのかわからなくなる…というなかなか難しいバランス感覚。

f:id:tokyozombi:20171025104122j:plain

話のキモは「二重スパイが誰か」なわけですが、観客が推理するほどの価値はそこにはなさそうなので、80年代の音楽と幻想的なエロティシズム、そして力強くアクションするロレーン(シャーリーズ・セロン)を楽しめばいいのでした。

ワンカット風の撮影で屈強な男たちをバッタバッタとなぎ倒す…というには程遠く、あまりにも泥臭い闘いが繰り広げられます。そこらに落ちている道具をぶん投げたりぶっ刺したり、音楽にのせたスタイリッシュなアクションから徐々に脱していきました。

しまいには両者ボロボロヘロヘロ。でもこれはこれでいいですね。音楽にのせた…とはいいつつ、ただのBGMでしかないので『ベイビー・ドライバー』などを観たあとでは物足りなさも感じますが…。

f:id:tokyozombi:20171025111653j:plain

残念なのは会話シーンが退屈で眠くなってしまうこと。事情聴取のシーンはもとより、パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)とのシーンも会話主体なところが多くてちょっともったいないなぁと思いました。

100分程度に抑えて背景説明などはうまいことダイジェストでわかりやすくポンポンポンとやってほしいところでしたね…。続けて観た『バリー・シール』がテンポよかっただけに、よけいに鈍重に感じました。いや、これはシリアス路線だから難しいのかなぁ。しょうがないか。

あ、高校生2人組と思しき男の子たちがひとつ前にいたのですが、シャーリーズ・セロンちっぱいを見てフッと笑っていました。君たち何を期待していたんだね…。

以下でネタバレをしています。

f:id:tokyozombi:20171025111847j:plain

マカヴォイがイカれた感じのいい演技をしていましたね。肩甲骨あたりに刺さったナイフが抜けない!うぐぐ!のシーンは笑えました。

笑ったといえば左頬にカギをぶっ刺された男。なんと刺さったままチャラチャラ音を立てながら闘う。痛々しいと思うより笑かそうとしてるんじゃないかと疑ってしまいます。でも妙にかっこよくもあり。

f:id:tokyozombi:20171025112307j:plain

秘密リストを知るスパイグラスという男(エディ・マーサン)も末路は悲惨でかわいそうだけど、道中はなんか可笑しいんですよね。ベルリンを横断するにあたり、変装しなきゃ!→ダサい柄シャツ着させられるという流れもまぁ本人嫌そうで。

ロレーンの戦闘中に、じぶんは負傷した腹部の出血を抑えるためにお腹の傷をふさいでテープで巻き巻き…。これも痛そうなのになぜか滑稽。

f:id:tokyozombi:20171025112524j:plain

二重スパイのサッチェルの正体はロレーンだった!という真実ですが…うん、まぁそうだよね、としか…。パーシヴァルではそのまんま過ぎますし。実はCIAだったよ!二重じゃなくて三重だったよ!というのも(そうなんだぁ)くらいにしか思えませんでしたね。その程度の驚きにしかならないなら、事情聴取シーンとかバッサリカットしてアクションに全振りしてほしかったのが正直な感想です。